リモートワークが普及している中で注目されているのが、ホテルに滞在してのリモートワークです。
しかし、中には「ホテルでのリモートワークは経費に計上できるのか?」と不安に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ホテルのリモートワークが経費として認められれば、利益を圧縮し節税することができます。
今回は、「ホテルでのリモートワークは経費として計上できるのか?」という疑問を公認会計士KOYAMAさんにぶつけてみました。
その結果を詳しく解説いたします。
ホテルでのリモートワークは経費にできる?
ホテルでのリモートワークがどれだけ経費に出来るかの考え方の根本となるのは、「業務遂行のために必要な経費であるかどうか」です。
例えば、出張の際にホテルを取り、空き時間にリモートワークをした場合など、宿泊も含めて仕事に必要だと判断されれば経費としての計上が可能です。
ただし、ホテルでリモートワークをすること自体が目的であるならば、経費に出来るかどうかの判断は難しいものとなってきます。
リモートワークはインターネット回線があれば場所を問わず業務にあたることが出来ます。
つまり「家」でも出来るものであるため、ホテル滞在そのものに業務上の必然性が認められない限りは経費として数えることが出来ないのです。
また、食事代についても、業務上の会食など会社指示によって行われるもの以外はプライベート扱いとなりますので、経費としては認められません。
このように、宿泊費や滞在費、ホテルに行くまでの交通費、食事代、通信費などの全てを経費計上することは基本的に難しいということは、念頭に置く必要があるでしょう。
ホテルでリモートワークをした場合に経費として計上できる可能性がある項目
では、どのような場合であれば、ホテルでのリモートワークを経費として計上出来るのでしょうか。
具体的な例としては、「遠方の取引先と直接会う必要があり、出張を兼ねてホテルでのリモートワークを行う」のように、明確に業務上の必要性が主張出来るパターンです。
休暇やリフレッシュの為にホテルでのリモートワークを行うのであれば、業務上必要でない宿泊と判断されるでしょう。
そのうえで経費として計上出来る可能性のある項目について一つひとつ解説していきます。
交通費
徒歩圏内のホテルに滞在するわけでないのなら、必要になるのが交通費です。
そもそも、徒歩圏内のホテルであれば家でリモートワークを行う状況と変わらないので、経費として認められることはありません。
交通費の経費計上は、業務の関係で滞在先現地に会うべき人がいるといった理由があれば可能となる場合があります。
また、基本的な考え方として、滞在日数に対する業務従事割合が90%以上の場合、往復の旅費全額が経費として計上出来ます。
その他、業務従事割合が50%以上90%未満であれば日数で按分した金額が経費計上されますし、逆に10%以下の場合は一切経費として認められません。
よって、ホテルでのリモートワークを行うにあたり業務従事割合が高ければ、交通費の経費計上が可能となります。
宿泊費・滞在費
交通費と同様に、業務上必要な宿泊であるかが証明されなければ宿泊費・滞在費の経費計上は認められません。
宿泊そのものがリモートワークを通してリフレッシュを行う意味合いが強いのであれば自己負担、として考えた方が良いと言えるでしょう。
ただ、出張の際に、早朝から取引先に赴く必要があるため前日から前乗りして業務にあたるといったような理由があれば、認められる可能性も高くなります。
あくまでも業務上必要な宿泊であるかが論点となりますので、その点は注意してください。
通信費
インターネット回線は、リモートワークを行う際に欠かすことの出来ないものです。
そのためWi-Fiを始めとした通信費は、最も経費として認められやすい費用の1つと言えるでしょう。
例えば、滞在先にWi-Fi環境がなく自身のポケットWi-Fiなどを利用する必要があるのであれば、個人支払の通信費用がかさむことにもなりかねません。
リモートワーク先の通信設備が不十分である場合には経費計上の可能性も上がります。
食事代
リモートワークにおける個人の食事代は、基本的に経費として認められません。
業務中であっても個人的に購入して食べた食事は経費にならないので、その点は留意する必要があります。
食事代として経費計上が可能なのは、「業務上の取引先や関係者との食事」である場合です。
そのため、もし万が一税務調査が入り、一つひとつ経費について問われた際にきちんと回答できるように、個人事業主の場合であれば、レシートの裏に誰と何の目的で行ったのかをメモしておくのがおすすめです。
会社員の場合は、その会食が業務に関係するものであると証明するために、事前に会社へ確認を取っておくと、より安全に経費計上出来るでしょう。
個人事業主と会社員で経費にできるかどうかに違いはある?
会社に所属している場合には、会社の方針によって経費に出来るかの方針が変わって来ます。
例えば、会社の指示でホテルでのリモートワークをするのであれば、それ自体が業務命令となりますので経費として計上が可能になるというわけです。
一方、個人事業主やフリーランスに関しては、リモートワークに関する経費計上が困難になりやすいと考えておいた方が良いでしょう。
というのも、その場所で働く必要性が証明されるか否かが重要であるため、個人事業でその証明を行うにはしっかりとした理由が欠かせないからです。
時間や場所を問わず業務を行うタイプのフリーランスであれば、ほとんど認められることがないと言っても過言ではありません。
会社員よりも個人事業主の方が経費にしづらいことは留意しておきましょう。
ホテルでのリモートワークの費用を経費にするのは難しい!
今回はホテルでのリモートワークを経費に出来るかについて、会社員、個人事業主という2つの立場における考え方をご紹介しました。
必然性の証明が求められるがゆえに、ホテルでのリモートワークを経費にするのは難しいと言わざるを得ないでしょう。
リフレッシュや旅行、休暇をまじえて仕事を行いたいと考えている場合は、自己負担となる可能性を考えておく必要があります。
ただ会社員の場合には会社の方針によって認められる可能性もありますので、事前に会社へ確認を取ることも大切です。
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